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Program Notes

モーツァルト:

ケーゲルシュタット・トリオKV 498

 

1. Andante

2. Menuetto

3. Rondeaux: Allegretto

“ケーゲルシュタット・トリオ”はピアノ、クラリネット、ヴィオラのための三重奏 変ホ長調KV498の愛称である。モーツァルトがボウリングの原型であるケーゲルン(Kegeln)の遊びに興じながら作曲されたという逸話からそのような愛称がついた。この曲は1786年8月5日にウィーンで作曲され、当時発明されて間もない楽器であったクラリネットを独立して扱った最初の作品である。モーツァルトはヴィオラ奏者としても腕があったことで有名だが、友人のジャカン一家の娘でモーツァルトのピアノの生徒でもあったフランチスカと、クラリネット名手であったアントン・シュタットラー、そしてヴィオラをモーツァルトが担当し、この曲が演奏された。始めから終わりまで、その色彩感とテクスチュアなど、極めて統一感のある作品である。ピアノとヴィオラのユニゾンで華々しく始まる第一楽章はオペラの幕開けを感じさせる。第二主題でクラリネットが提示され、そこから3つの楽器の掛け合い部分とユニゾン部分の減り張りが効果的に使われている。メヌエットは3つの楽器が独立しているにも関わらず、馴染みあった絶妙にバランスのとれた構成である。 短いモティーフの中でキャラクターがコロコロと姿を変えて登場する。ロンド形式のフィナーレは平和で穏やかな主題、ソリスティックなピアノパート、情緒的な中間部など多様なテクスチュアが組み込まれた楽章となっている。

 

2019年9月 Trio Favolaリサイタル

​©︎2019 Kozue Kawabata

 

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